任意削除が難しい場合
インターネット上に自分の権利が侵害されている書き込みや記事を見つけた場合で、任意削除が難しい場合、法的な方法による削除を検討することになります。
考えられる方法は、以下の通りです。
⑴弁護士による警告文
この方法は、相手方の連絡先(運営者)が分かっているときに有効です。
Youtubeやインスタ、ツイッターなどでは取りうる手段です。
書き込みを行った者がトラブルに巻き込まれることを避けたい人であれば、結構有効な場合が多いです。
一方で、過激な人であれば、かえってエスカレートする可能性もないとはいえません。
⑵仮処分
裁判所を通した手続きです。
サイトによっては、この「仮処分」という手段を用いらなければ、事実上、削除することが困難な場合があります。
仮処分とは、一般的な裁判とは違い、迅速な審理で算定的に削除を決定するというようなものです。
とはいっても、適当に審理が行われるというものではありません。
仮処分を行うためには、以下の3点のハードルをクリアする必要があります。
①同定可能性
同定可能性とは、ざっくり言うと、書き込みや記事が「自分について書いていることが分かるか」です。
書き込みや記事で、名指し批判されることは多くはありません。
イニシャルや源氏名、下の名前のみなど、その書き込みが削除申請者のことを指しているか否か必ずしも明らかではないこともあります。
この場合、その書き込みや記事が、貴方のことを書いているということを主張していく必要があります。
その書き込みや記事の前後の流れ、スレッドのタイトル、その他証拠から主張、立証していきます。
②権利侵害があること
その書き込みが削除請求者の権利を侵害していることを主張、立証をする必要があります。
ここにいう権利とは、自分が何となく嫌だというだけでは駄目で、
- 名誉権、名誉感情
- プライバシー権
- 肖像権
- 著作権、著作者人格権、商標権
- 氏名権・アイデンティティー権(なりすましがなされない権利)
- 更生を妨げられない権利
といった法的権利が侵害されていることを主張する必要があります。
③違法性阻却事由がないこと
ここが結構肝です。違法性阻却事由がないことの説明は、極めて難しいです。
例えば、事実適示型の名誉棄損であれば、適示されている事実が真実ではないことを主張することが多いです。
真実でないことの証明は、かなり難しく、工夫が必要です。
このような要件があって、初めて削除の仮処分が認められ得るのです。
正直な話、仮処分をご検討するのであれば、弁護士に相談した方が良いと考えます。